2010年3月13日土曜日

知らない世界を知って

あるところには医療機器が溢れてる。

▼首都において、この患児は呼吸器管理されていました。
自分で呼吸ができないので、気管に細い管を通し、機械によって呼吸管理されています。


わが活動先バガノール。呼吸器がありません。
しっかり10ヶ月、お母さんのお腹の中にいたとしても、出生体重が2000g以上あったとしても、
呼吸不全で生まれてくる赤ちゃんだっているんです。
もし、呼吸が止まってしまったら・・・。
助けたくても、助けてあげる事ができません。

『これって、どういうことなんだ?』
・・・と疑問に思い、NPO代表の方に尋ねてみました。

すると、

『あぁ、それはねぇ、リスクの高い新生児はどうしても首都に運ばれてくるでしょう。
だからどうしても優先的に首都に資金が回りやすいんだ。
おまけに、首都だと足が運びやすいし、実際にああいった小さい子達を見て、 援助したい!・・・と思う人がいるんだよ。』

『確かに。バガノールでもハイリスク妊婦は首都に運ばれてきます。
でも、他国からの援助資金が少しでも与えてもらえるようにと、
毎回・毎回バガノールの人達は草案(援助を受けるための申請書)を書いています。
却下されても却下されても・・・です。
首都の病院はその草案書を書いていない・・・と言うことでした。
この差はなんなんでしょう?』

『そう、そこなんだよ。彼ら達が援助に頼るばかりではなく、自立できるようにしなくてはならない。 それは、私達の今後の課題でもあるんだ。』

自立・・・。

一昨年までバガノールの病院では、新生児を診れる医師がいなかった。
”2008年 新生児死亡数8人 ”

命を救うために必要な医療機器は手に入らない。
だからと言って立ち止まるわけにはいかない。
そして一昨年、新生児専門医を首都から招いた。

その成果あってか”2009年 新生児死亡数4人”に減少。
半分に減ったけれど、やはり亡くなる命があるのが現状。
それも医療機器が足りないことによる死亡数。
彼ら達はその現状を痛いほど分かっている。

だからやむを得ず、ハイリスク妊婦は首都に搬送している。

首都と地方というだけで、こんなにも違いが生じるのか・・・。

先日チリで大地震があった際、待ちに待った救援物資がきたものの、物資が与えられたのは首都にとどまり、首都から離れている漁村などには全く救援物資が回らず、

『こんなの差別だわ!!』

・・・と住民が涙ながらに訴えていたニュースを見た。

なんだか他人事とは思えない。
色々な事を考えさせられた1日。
やはり技術提供だけでは、救えない命が存在する。

地方だって医療機器が必要。
地方だからこそ、必要なんだ。

訴えるだけでいいのだろうか。
更に何か出来ることはないのだろうか。

もう、死んでゆく子供を見るのは嫌だ。

5 件のコメント:

  1. あやねえはいつもいつも残されたモンゴルの時間で何ができるだろう・・・って考えてて・・・。
    で、実際たくさんカタチに残っていると思う。
    だからきっと目の前のことを見て感じて、考えて行動していれば必ずあやねえなりの答えが見つかると思う。
    がんばって!!いつでも応援しています。

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  2. モノがあふれてる首都、
    モノが豊富な首都、
    うちの病院も相当恵まれている病院だろうと容易に想像できます(唯一の脳外科と心臓外科手術が対応可能な病院ですしね・・)

    でも、あくまでその恩恵を受けられるのは病院に来ることができた人達だけ。どんなに病院から近くても病院に来れなければその恩恵を受けることができません

    そのような方々がきっといるんだろうと思うけれども全く病院から離れることができていない自分がいます・・
    地域や家庭のことをもっと見てみたい、その上でここで何が必要なのかを自分でちゃんと考えてみたいとも思います

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  3. 救えるはずの命が救えない。
    ほんとうに悲しいことです。
    「もう、死んでゆく子供を見るのは嫌だ」の最後一言に胸が痛みます。

    確かに地方と中央では医療器材の充実度に差があることは途上国においてやむを得ない、
    経済的に困難だと思います、これが途上国の現実です。

    かっての日本も程度の差はあってもこれと似た状態にあったわけです。
    それから日本も頑張って先進国に追いつくかそれに近い状態になったのです。

    思い出せてくれました、かって私がモンゴル担当で、大型医療機器を輸出する際外務省に説明にいきました。
    その時アジア局の女性の課長が「こんな大型機器が本当にモンゴルに必要なんですか? 
    この金額で聴診器はどのくらい買えるんですか?」と聞かれ返事に窮しました。
    これはODAの案件でしたので彼女は汎用機器にして数を増やす方がいいとの言い回しでした。
    いまにしてあやのすけさんのブログを読んで身にしみました。

    その国の医療政策により決められてしまいます、地方の意見がどこまで取り上げてもらえるのかこれは次元が
    違うもんだいですよね。我々に出来ることは本当に限られてます。
    だけど現状はありのまま報告し、いずれか日本の公式なアドバイスの資料になれば生きてくると思います。
    あやのすけさんの悲しい気持ち本当によく解ります。

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  4. 医療機器の差は、日本でもあるんじゃないかな?
    田舎では無理だけれど都市ならって感じで
    でも比べる事ではないですね・・
    誰かを救いたいって気持ちには皆同じなんですから
    医師不足、機器不足、どこから埋めていくかですよね
    良い機器があっても扱える人がいなければそこまで
    良い医者がいても機器がなければ救えない・・・・
    難しいっす

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  5. >まっつぅさん
    優チャン。いつも暖かいメッセージありがとう。
    1日も早く答えを探したい。悩み、もがきながら。

    >ウサさん
    コメントありがとうございます。
    ウサさんも実際にモンゴルの医療を目の当たりにしてる。
    だからこそウサさんの言葉は身に染みます。
    今後活動先の病院だけにとらわれず、在宅介護を強いられている地域住民の医療事情を見たいと思っています。
    家庭にこそ根本的な問題が眠っているような気がして。

    >Junさん
    貴重なご意見・感想、ありがとうございます。
    今後、JICA側で大型医療機器をモンゴルに支援する…といったプロジェクトがあるそうなんです。モンゴル政府のたっての要請だとか。
    聞いたところによると『MRI・CT機器』を導入するらしく。
    なので私はすかさず、
    『それは本当に医療現場からの声ですか?現場にしか分からない、本当に必要な医療機器があるはずです。それを差し置いてでも、大型医療機器を導入する事によるメリットはどこにあるですか?』とJICA関係者に聞き返しましたが、返事に困っていました。
    大きな組織間での案件。
    JUNさんの言うとおり、私達にできることは本当に限られています。だからこそ私は今後も訴える事は辞めません。

    >ジジ
    ジジの言うとおり、日本もこういった差はあると思う。
    離島の医院で働いている看護師も同じ事を言っていたから。
    何がいいのか・悪いのか。
    それは誰にも決められないのかもね。
    本当に難しいね。

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